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示差走査熱量測定(DSC)の基礎

本記事では、従来の手法から最新の手法まで、材料特性評価で幅広く用いられる重要な熱分析法である示差走査熱量測定(DSC)の原理と基礎を紹介します。新型Julia DSC 300および500の発売を機に、DSCによって明らかになる加熱時・冷却時の材料挙動に関する熱的知見をぜひご覧ください。

示差走査熱量測定(DSC)

示差走査熱量測定(DSC)は、物理的または化学的な過程で試料が吸収・放出する熱量を測定する熱分析法です。「示差」とは、装置が試料と不活性な参照との熱流の差を測定することを意味します。測定では、設定した温度範囲で試料を加熱または冷却しながら測定を行うため、「走査」と呼ばれます。DSCでは、さまざまな材料で生じる熱的事象や化学変化を、簡便かつ高い再現性で解析できます。実際の測定では、少量の試料をるつぼに入れ、同種の空のるつぼを参照るつぼとして同時に測定します。装置は、時間の経過とともに、参照るつぼと比較した試料の加熱に必要なエネルギー量を求めます。このエネルギー差を熱流(ヒートフロー)と呼びます。

DSC測定の結果として得られるサーモグラムには、選択した温度範囲で生じる転移が示されます。これらの転移は、通常、吸熱過程または発熱過程として現れます。つまり、試料はエネルギーを吸収する場合(吸熱事象)と、放出する場合(発熱事象)があります。たとえば結晶構造が融解する際には、結晶配列の秩序を崩すためにエネルギーが必要となるため、この転移は吸熱性を示します。一方、材料の結晶化では、分子がより秩序だった状態へ移行する際にエネルギーを放出するため、発熱性を示します。サーモグラムには、試料に応じて吸熱ピークや発熱ピークが現れます。これらのピークの形状、面積、位置を解析することで、材料の熱履歴を読み取り、その熱的挙動を特性評価できます。

DSCは高分子分野で広く用いられていますが、製薬、石油化学、食品分野でも数多くの有用な応用例があります。

熱分析法とその応用

熱分析には、熱重量分析(TGA)や熱機械分析(TMA)、動的粘弾性分析(DMA)など、さまざまな手法があります。下表に、各手法の適用性を示します。

表1

 用途DSCTGATMADMA
熱特性比熱容量 (cp)+   
エンタルピー変化、転化エンタルピー+   
融解エンタルピー、結晶化度+   
融点、融解挙動(液相率)+   
結晶性有機化合物の純度++  
結晶化挙動、過冷却+   
気化、昇華、脱着++  
固相-固相転移、多形+ ± 
ガラス転移、非晶質軟化+ ++
熱分解、パイロリシス、解重合、劣化±+± 
温度安定性±+± 
化学特性化学反応+±  
反応速度論および応用速度論の研究++  
酸化劣化、酸化安定性(OOT、OIT)++± 
組成分析++  
異なるバッチおよび競合製品の比較++±±
機械的特性線膨張係数  + 
弾性率  ±+
せん断弾性率   +
機械的減衰   +
粘弾性挙動  ±+

+:非常に適している;±:適性が低い

熱特性と化学特性の両方を評価するうえで、DSCは数ある熱分析手法の中でも最も汎用性の高い手法です。

示差走査熱量測定とは?

DSCの原理

示差走査熱量測定(DSC)は、試料と不活性な参照を加熱または冷却したときの熱流差を測定する手法です。試料に融解(吸熱)や結晶化(発熱)などの物理的または化学的転移が生じると、熱流が変化し、これらの現象はDSC信号にピークとして現れます。

DSCの種類

DSCには2種類あります。

  • 熱流束型
  • 電力補償型

ここでは、Julia DSCの基盤技術である熱流束型DSCに焦点を当てます。一般的な熱流束型DSCでは、温度制御された炉内で、試料るつぼと参照るつぼを、それぞれ熱電対に接続された別個のセンサー上に配置します。2つのセンサー間に生じる温度差は、両者を同一の加熱条件に保つために必要な熱流に比例します。熱流は、材料内で生じるエンタルピー変化と熱容量の両方に直接関係します。DSCでは、温度に対する熱流の変化を追跡して熱転移を特性評価し、適切な校正により、熱容量(Cp)や転移エンタルピーなどを算出できます。

電力補償型DSCでは、試料るつぼと参照るつぼを別々の炉に収容し、それぞれの温度を独立に制御します。主な測定値は、試料と参照の温度差をできるだけ小さく保つために必要な電気加熱電力です。信号として記録されるのは電力であるため、このタイプのDSCでは、ごく少量の試料で非常に高い昇温速度と冷却速度を実現できます。

図1:いわゆる熱流束型DSCの炉セルの模式図。2つのるつぼ位置はいずれも、共通の温度制御ユニットによって温度制御されます。各るつぼ位置は温度センサーであると同時に、炉と試料るつぼまたは基準るつぼとの間で熱を伝達するインターフェースとしても機能します。試料内で生じる化学反応または物理変化により、炉と試料るつぼの間の熱流が変化し、その変化は試料と基準の温度差として検出されます。
図1:いわゆる熱流束型DSCの炉セルの模式図。2つのるつぼ位置はいずれも、共通の温度制御ユニットによって温度制御されます。各るつぼ位置は温度センサーであると同時に、炉と試料るつぼまたは基準るつぼとの間で熱を伝達するインターフェースとしても機能します。試料内で生じる化学反応または物理変化により、炉と試料るつぼの間の熱流が変化し、その変化は試料と基準の温度差として検出されます。

代表的な熱転移

サーモグラムを正しく解釈するには、発熱方向を明示することが重要です。発熱事象は通常、上向きに表示されます(矢印で示すように)。以下に、熱分析で観察される代表的な熱事象を、温度の低い順にプロットした例を示します。 

図2:熱分析で観察される典型的な転移をすべて示したサーモグラムの模式図
図2:熱分析で観察される典型的な転移をすべて示したサーモグラムの模式図

Julia DSCのご紹介

アントンパールは、熱流束型DSCの2機種、Julia DSC 300とJulia DSC 500を提供しています。Julia Suiteソフトウェアと組み合わせることで、幅広い材料を対象に、研究開発から品質管理までの多様な用途に対応します。選択する冷却モジュールに応じて、-170 °C~700 °Cの温度範囲に対応します。着脱式トレイには70サンプルをセットでき、最大8種類の参照用スペースも備えています。両機種ともオートサンプラーを搭載可能で、24時間365日の無人運転に対応します。

Julia DSC 300とJulia DSC 500の違い

Julia DSC 300は空冷モジュール(ACM)に対応し、-35 °C~700 °Cで測定できます。一方、Julia DSC 500は当社の全冷却モジュールに対応し、最低温度-170 °Cを実現します。両モデルともオートサンプラーを搭載可能で、運用負荷を軽減します。

冷却モジュールの選択

図3:交換式冷却モジュールを搭載したJulia DSC 500の模式図。1:ACM、2:RCM、3:NCM
図3:交換式冷却モジュールを搭載したJulia DSC 500の模式図。1:ACM、2:RCM、3:NCM

空冷モジュール(ACM)

特許取得済みのペルチェ素子内蔵空冷モジュールにより、-35 °Cまでの室温以下での測定が可能です。ACMは最高700 °C、最大加熱速度300 K/min、最大冷却速度150 K/minに対応します。

冷凍冷却モジュール(RCM)

RCMは-90 °Cまで冷却でき、最大冷却速度は150 K/minです。最高温度は700 °Cで、最大加熱速度は300 K/minです。密閉回路設計のため、冷媒の補充は不要です。RCMは、ポリマーで一般的な低温転移などの解析に最適です。Julia DSC 500専用で、装置の横に追加スペースが必要です。

窒素冷却モジュール(NCM)

NCMは、-170 °Cから600 °Cまでの広い温度範囲での分析に対応するよう設計されています。最大加熱速度は300 K/min、最大冷却速度は200 K/minです。この高性能冷却モジュールは極低温域への到達に優れており、特殊材料や低温転移の研究に特に有用です。窒素デュワーの設置に伴い、装置の横に追加スペースが必要です。また、デュワーには定期的な補充が必要です。Julia DSC 500専用です。

校正

正確な測定結果を得るには、校正が不可欠です。熱流束型DSCでは試料温度を直接測定せず、間接的に求めるため、測定系の構成によって表示値が真値からずれることがあります。既知の標準物質を測定することで、表示値と文献値(真値)との対応関係を確立します。この目的には一般にインジウムが用いられます。融点は156.60 °C、融解エンタルピーは28.58 J/gです。校正で得られたスケーリング係数を用いて、測定値を補正します。

Julia DSC 300および500で校正を行う場合、2つのキャリブラント間の温度範囲における補正を算出するには、少なくとも2種類のキャリブラントが必要です。120 °Cから470 °Cの校正には、インジウムと亜鉛(融点419.53 °C)が一般的に用いられます。室温以下の温度域での校正も有用です。この場合の代表的なキャリブラントには、水(0.0 °C)、n-ドデカン(-9.65 °C)、n-オクタン(-56.85 °C)があります。キャリブラントは、使用する冷却モジュールと分析目的に応じて選定してください。以下の表に、よく用いられるキャリブラントの特性値と推奨試料質量を示します。

表2

校正標準物質融解温度 (°C)エンタルピー (J/g)質量 (mg)
インジウム (In)156.628.587.5-11
亜鉛 (Zn)419.53111.991.8-2.8
スズ (Sn)231.9660.483.5-5.3
0.0334.160.6-1.0
n-ドデカン-9.65216.161.0-1.5
n-オクタン-56.85181.571.1-1.8

校正時には、サイン波温度変調DSC(SDSC)の温度変調条件もあわせて校正できます。SDSCは、測定中に生じる可逆的な熱事象と不可逆的な熱事象を分離するために使用されます。融解、結晶化、ガラス転移は可逆過程とみなされますが、ガラス転移に重なるエンタルピー緩和は不可逆過程です。SDSCの校正は、通常、5 K/min~20 K/minの範囲内で2つの異なる加熱速度で実施する必要があります。

補正項はるつぼの種類に依存するため、るつぼの影響も考慮する必要があります。これはTruPeak測定で行います。センサー固有のばらつきにより、装置の非対称性が系統誤差の原因となる可能性があります。TruPeakでは、比熱容量が既知のサファイアを用いた一連の校正測定に加え、空炉および空るつぼの測定を行い、以後の解析に適したベースラインを決定します。

DSC測定の準備と実行

ツールボックス

図4:試料の取り扱いおよびセンサーと炉の清掃に使用するツール一式。
図4:試料の取り扱いおよびセンサーと炉の清掃に使用するツール一式。

すべてのJulia DSCには、スパチュラ、シリンジ、プッシュロッド、漏斗などを備えた試料調製用ツールボックスが付属しています。炉の清掃用ツールも付属しており、センサー清掃用のガラス繊維ブラシや炉セル用ブロアなどが含まれます。

るつぼ
 

図5:Julia DSC用るつぼの一覧。1:Al製るつぼ 20μL、2:Al製るつぼ 40μL、3:Al製るつぼ 100μL、4:穿孔済みふた、5:穿孔用Alふた(Autosampler Piercing Deviceで穿孔)。
図5:Julia DSC用るつぼの一覧。1:Al製るつぼ 20μL、2:Al製るつぼ 40μL、3:Al製るつぼ 100μL、4:穿孔済みふた、5:穿孔用Alふた(Autosampler Piercing Deviceで穿孔)。

原則として、適切に校正されていれば、Julia DSCではあらゆる種類のるつぼを使用できます。ただし、アントンパールでは、日常分析向けに最適化され、サイズおよび推奨用途ごとに分類した性能確認済みのるつぼを各種取り揃えています。るつぼ縁の汚染や試料のこぼれを防ぐため、充填量は容量の3分の2以下にすることを推奨します。

  1. アルミニウム (Al) 20 µLるつぼ – リッド付きまたはリッドなし(パンのみ)
    少量の試料(固体、粉末)に適していますが、このるつぼはシーリングプレスによる封止には対応していません。非気密のリッドは、プッシュロッドで閉じます。リッドにより試料がるつぼ底に密着して熱接触が向上し、より正確な結果が得られるため、このるつぼは箔や繊維に特に適しています。
  2. アルミニウム (Al) 40 µLるつぼ – リッド付きまたはリッドなし(パンのみ)
    最も一般的に使用されるるつぼで、穴なしリッドを使用すれば液体を含む幅広い試料に対応できます。シーリングプレスで気密封止できます。リッドはるつぼに冷間圧着されます。
  3. アルミニウム (Al) 100 µLるつぼ – リッド付きまたはリッドなし(パンのみ)
    より多くの試料量が必要な場合に使用し、幅広い種類の試料に対応します。シーリングプレスで封止できます。
  4. 事前穿孔リッド – 40 µLおよび100 µLるつぼ用
    事前穿孔リッドには、同じ径・同じ位置にレーザー加工した穴が設けられています。測定中の内圧上昇によるるつぼの破損を防げるため、最もよく使用されるリッドです。事前穿孔リッドは固体試料にも適しています。
  5. 穿刺可能リッド – 40 µLおよび100 µLるつぼ用(オートサンプラー専用)
    穿刺可能リッドはオートサンプラー専用に設計されています。測定直前まで不活性雰囲気または制御雰囲気下で保持する必要がある試料(反応性化合物など)に最適です。オートサンプラーにはソフトウェア制御のニードルが搭載されており、測定開始直前に炉内でリッドを直接穿刺します。

40 µLおよび100 µLるつぼで使用する標準の穴なしリッドは、ツールボックス付属のニードルなどを使って手動で穴を開けることができます。DSC測定前にリッドに穴を開けておくことで、発生した蒸気を逃がし、るつぼの変形を防げます。酸化解析などの特殊用途や、試料と雰囲気ガスの反応が必要な場合には、パンをリッドなしで使用することもできます。

注意: 試料を取り扱う際は、必ず手袋と保護メガネを着用してください!

試料

粉末

粉末試料には、熱伝導率の低い空気を多く含むことがあります。最適な熱接触を得るには、るつぼ底の変形を防ぐため、るつぼを硬い面に当てた状態でプッシュロッドを用い、粉末をしっかり押し固めることを推奨します。これにより、試料とるつぼ底の接触が向上します。充填時にるつぼ縁の汚染を防ぐため、漏斗の使用を推奨します。標準的な分析では、事前穿孔リッドを使用します。酸化挙動の評価では、粉末をリッドなしのパンに装填することもできます。

手順:

  • 空のるつぼとリッド(必要に応じて)を秤量
  • スパチュラと漏斗を使って粉末を装填
  • プッシュロッドで粉末を押し固める
  • 必要に応じて適切なリッドを用い、シーリングプレスでるつぼを封止
  • 充填後のるつぼを秤量し、差から試料質量を算出。
    注意:アルミニウム (Al) 20 µLるつぼを使用する場合は、プッシュロッドでリッドを閉じる。

液体試料

液体試料では、試料調製時に濡れ性と揮発性を慎重に考慮する必要があります。このような試料には、気密封止リッド付きの40 µLおよび100 µLアルミニウムるつぼのみを推奨します。これにより分析前および分析中の試料損失を防止でき、1 %を超える質量損失によるDSC結果への影響を抑えられます。室温で液体であることが多い低温キャリブラントは、調製時に特別な注意を要する液体試料の代表例です。

手順:

  • 空のるつぼとリッドを秤量
  • ツールボックス付属のシリンジを使って液体試料を装填
  • 縁を汚染しないよう注意しながら、少量の試料をるつぼに滴下
  • るつぼを封止して秤量
  • 差から試料質量を算出

箔と繊維

分析では、るつぼ底との熱接触を可能な限り高めることが重要です。繊維や箔は軽量なため、使用するるつぼが大きすぎると(40または100 µLるつぼ)、試料が曲がったり傾いたりすることがあります。測定中にリッドが試料を押さえる20 µLるつぼの使用を推奨します。これによりベースライン安定性も向上します。 

手順:

  • 空のるつぼとリッドを秤量
  • ツールボックス付属のピンセットを使って試料を装填
  • プッシュロッドの適切な側を使って、リッドをるつぼに押し込む
  • 充填後のるつぼを秤量し、差から試料質量を算出。

温度メソッドの作成

図6:窒素をメソッドガスとして使用した昇温-冷却-再昇温の温度プログラム例。
図6:窒素をメソッドガスとして使用した昇温-冷却-再昇温の温度プログラム例。

メソッド作成は、DSC分析の準備における基本ステップです。試料について把握しておくことは有用ですが、測定結果の良否を左右するのは、明確に定義されたメソッドです。Julia Suiteでは、さまざまなセグメントとパージガスを選択しながら、測定メソッドを直感的に作成できます。(注:温度範囲は、使用する冷却モジュールの種類によって異なります。) 

メソッド作成では、温度、昇温速度・冷却速度、パージガス、実施する分析の種類を設定します。以下に、メソッド作成時に押さえておきたい主なポイントを示します。

  • 選択した昇温速度を踏まえ、開始温度は最初に想定される転移の開始より2~3分前に設定することが重要です。 昇温速度が10 K/minの場合、これは転移開始温度の約20 °C手前に相当します。
  • 転移を明瞭に観察でき、かつ情報を損なわない昇温速度を選択することが重要です。一般的な昇温速度は5 K/min~20 K/minです。昇温速度を上げると、検出感度が高まり、信号は大きくなります。ただし、その分、分解能は低下します。高い分解能が必要な場合は、低い昇温速度が適しています
  • 終了温度は、転移終了の2~3分後になるように設定する必要があります。昇温速度が10 K/minの場合、これは想定される転移より20 °C高い温度に相当します
  • パージガスは、分析の種類に応じて選択する必要があります。酸化や分解を評価する場合は、空気や酸素などの反応性ガスを使用します。それ以外の場合は、窒素やアルゴンなどの不活性ガスが適しています。OIT(酸化誘導時間)やOOT(酸化開始温度)は、空気または酸素を必要とする代表的な測定です

Julia Suiteで使用できる代表的なセグメントタイプは次のとおりです。

  • Isothermal(等温):設定した温度を、ユーザーが指定した時間だけ一定に保持
  • Dynamic(昇降温):設定した温度範囲内で、所定の昇温速度または冷却速度に従って試料を加熱または冷却
  • Ballistic(急速昇温):最大昇温速度で試料を目標温度まで加熱
  • Equilibrate(平衡化):最大昇温速度で試料を目標温度まで加熱し、その温度で30秒間保持
  • Loop(ループ):上限温度と下限温度を設定値分だけ変化させながら、セグメントを繰り返す

熱事象を理解する

以下の表は、試料の特性を示す転移を特定する際の参考になります。DSC分析で最も一般的に観測されるのは、ガラス転移、融解、結晶化ですが、試料の種類や実験条件によっては、そのほかにもさまざまな転移が見られます。

表3

表4

表5

サーモグラム解析

Julia Suite Professional は、ピーク解析、ガラス転移の同定・算出、OIT/OOT の判定など、サーモグラム解析のための多彩なツールを備えています。信頼性の高いデータを得るには、適切なベースライン設定が不可欠です。また、適切な転移を選択することで、試料本来の特性値を正確に求めることができます。さらに Julia Suite Professional には、平均化や減算などの演算機能を含む多彩な解析オプションが用意されており、測定結果の理解を深めます。

アプリケーション例

アプリケーションレポートは以下をご覧ください: www.anton-paar.com/ja-jp/produkte/details/julia-dsc/
当社では、装置の新たな用途の開拓に継続的に取り組んでおり、新しいアプリケーションのアイデアを常に歓迎しています。検討中のアプリケーションがございましたら、Application-Tan[at]anton-paar.com までお気軽にお問い合わせください。

関連規格

  • ASTM D3418 | 示差走査熱量測定によるポリマーの転移温度および融解・結晶化エンタルピーの標準試験方法
  • ASTM D3895 | 示差走査熱量測定によるポリオレフィンの酸化誘導時間(OIT)の標準試験方法
  • ASTM D4591 | 示差走査熱量測定によるフッ素系高分子の転移温度および転移熱の標準試験方法
  • ASTM D6604 | 示差走査熱量測定による炭化水素系樹脂のガラス転移温度の標準実施手順
  • ASTM E487 | 化学材料の恒温安定性に関する標準試験方法
  • ASTM E537 | 示差走査熱量測定による化学物質の熱安定性に関する標準試験方法
  • ASTM E793 | 示差走査熱量測定による融解および結晶化エンタルピーの標準試験方法
  • ASTM E794 | 熱分析による融解温度および結晶化温度の標準試験方法
  • ASTM E928 | 示差走査熱量測定による純度測定の標準試験方法
  • ASTM E1269 | 示差走査熱量測定による比熱容量測定の標準試験方法
  • ASTM E1858 | 示差走査熱量測定による炭化水素の酸化誘導時間の標準試験方法
  • ASTM E2009 | 示差走査熱量測定による炭化水素の酸化開始温度の標準試験方法
  • ASTM E2602 | 変調温度示差走査熱量測定によるガラス転移温度の決定に関する標準試験方法
  • ASTM E2716 | 変調温度示差走査熱量測定による比熱容量測定の標準試験方法
  • ISO 11357 | プラスチック — 示差走査熱量測定 (DSC)
  • ISO 19935 | プラスチック — 変調温度示差走査熱量測定 (MT-DSC)
  • ISO 22768 | 生ゴムおよびラテックス — 示差走査熱量測定 (DSC) によるガラス転移温度の測定
  • DIN 51007 | 熱分析 — 示差熱分析 (DTA) および示差走査熱量測定 (DSC) — 一般原則
  • DIN 53545 | ゴム試験 — エラストマーの低温特性の測定 — 原則および試験方法
  • USP 米国薬局方 第891節 | 熱分析
  • Ph. Eur. 欧州薬局方 第2.2.34節 | 熱分析
  • JP 日本薬局方 第2.52節 | 熱分析

参考文献

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