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ポリマーの粘弾性測定

今日、ポリマーは工業分野や毎日の生活に利用される最も重要な材料の1つとなっていますが、それは、ポリマーの特性が、ほとんど全ての分野の用途に適合させることができ、その方法も無数にあるからです。タンパク質、でんぷん、セルロースといった天然のポリマーの他、ナイロン、シリコン、PVC、プレキシガラスなど、合成によって製造されるポリマーが数多くあります。硬くて壊れやすいポリマーもあれば、丈夫で衝撃に強いポリマーやソフトで柔軟なポリマーもあります。このため、ポリマーの製造と特性評価は、多くの産業分野や専門的な研究機関の関心事となっています。

ポリマーの粘弾性挙動

ポリマーは、モノマーと呼ばれる多数のサブユニットが結合して作られる、大きな分子です。分子鎖の長さと分子鎖の絡まり具合によって、材料の特性が決まります。ポリマー関連の特性の多くは、粘弾性測定によって評価できます。これらの特性を説明するには、様々な測定によって必要な情報を取得します。

ポリマーは複雑な粘弾性挙動(溶融粘度、流動挙動、粘弾性特性、温度依存挙動、ガラス転移温度、劣化挙動など)を示します。ポリマーを使用または製造する場合は、これらの挙動を考慮する必要があります。ポリマーの特性が全ての要件を満たすまで、様々な試験及び分析が行われます。

粘弾性測定によるポリマーの測定

粘弾性測定は、以下の目的に有効です。

  • 粘度粘弾性パラメータ、モル質量などの測定によってポリマーの品質を管理
  • 射出成形、押し出し、紡績などにおけるポリマーの加工挙動を改善
  • 最終製品の最適化(自動車生産におけるプラスチック材料など)

アクリルガラス(PMMA)

ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、アクリルガラスとも呼ばれます。Plexiglas™(プレキシガラス)という商標が有名で定着しています。ガラスによく似ていますが、軽量で耐破砕性があります。適切に改良すれば、アクリルガラスは優れた引っかき抵抗性と耐衝撃性を示します。純物質が最終製品として販売されることはほとんどなく、多くの場合は、様々な量のコモノマー、添加剤、フィラーを用いて配合が調整された調合物として販売されます。配合によって、アクリルガラスに特定の特性を持たせることができます。通常のガラスよりも光をよく通し、弾力性があり、衝撃に強く、約105 °C以上の温度で簡単に成形できます。さらに、接着や溶接もできます。紫外線やX線は通し、赤外線を通さないタイプもあり、温室やX線リソグラフィーなどの特殊な用途に最適です。

アクリルガラスは、医療、自動車、建築、及び光学工業関連の製品において、計器のガラス、眼鏡、工場の床、車両の照明カバー、光ファイバー、レンズ、家具など多くの製品に使用されています。

アクリルガラスの粘弾性測定

アクリルガラスで頻繁に行われる粘弾性測定の1つは、ねじりによる「動的機械分析 (DMA)」で、振動式レオメータを使用します。この試験では、アクリルガラスの棒状のサンプルを2つのクランプで固定し、定義された温度範囲にわたって、特定の振幅と周波数で変形させます。ポリマーは、低温(-150 °C)では硬くてもろい挙動を示します。ポリマーは、最初は固体のガラス状態ですが、極めて高い温度まで加熱していくと溶け始め、 ガラス転移温度 で軟化範囲になり、最終的には液体の溶融状態になります。幅広い温度範囲で棒状のアクリルガラスを詳しく測定することで、巨大な分子構造と機械的挙動との関係について多くの情報が得られます。

この測定を行うには、対流式オーブン型システムと固体ねじり測定システムを装備したレオメータが必要です。

ポリエチレン(PE)

様々な用途に利用されるポリエチレン(PE)ですが、特に、ボトル、袋、フィルムなどの梱包材として使用されます。ポリエチレンは、主に密度と分子分岐によって、7種類に分類されます。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などがあります。分岐の程度と種類、半結晶構造、及びモル質量によって、ポリエチレンは様々な機械特性を示します。LDPEは硬質容器に使用されます。LLDPEは、LDPEと比較して引張強度に優れているため、梱包材、特にフィルム形状でシート、ビニール袋、包装フィルムに使用されます。HDPEは強度密度比が高く、牛乳パックの容器、洗剤容器、バター入れ、ゴミ箱、水道管などの製品や梱包材に使用されます。

ポリエチレンの粘弾性測定

粘弾性測定によって、PEの化学特性に関する情報が得られます。例えば、周波数分散を用いてゼロせん断粘度を測定することによって、PEのモル質量を特定できます。周波数分散は、一定振幅と可変周波数で実行される振動試験です。角周波数の値が低い領域で、サンプルのゼロせん断粘度を測定できます。ゼロせん断粘度は、平均モル質量に正比例するため、ポリマー溶融物の最も重要な特性の1つです。振動式レオメータを使用したポリマー溶融物の特性評価は、代表的な測定を比較的短時間で行うことができるという大きなメリットがあります。

この測定には、ペルチェ素子温度制御システムを装備したレオメータが必要です。

ポリプロピレン(PP)

ポリプロピレン(PP)は丈夫で柔軟なポリマーであり、柔軟な包装、繊維、ポリマー紙幣、工業材料など、様々な用途に使用されます。PPの特性はポリエチレンと似ていますが、PPの方が密度が小さく、融点が高く(TM > 160 °C)、耐薬品性が優れています。PP製の製品の製造方法としては、フィルム押出成形(包装向け)、ブロー成形(ボトル、チューブ、燃料タンクなど比較的強度の高いもの向け)、射出成形(安全ヘルメット、電動工具、テレビの筐体のようなヘビーデューティー用途向け)など、様々なものがあります。このように広範囲の製造に使用されているのは、様々な添加物(染料や顔料など)や補強材を使用してポリマーの特性を改質できるからです。例えばガラス繊維で強化することにより、高温でのPPの引張強度をさらに高めることができます。

ポリプロピレンの粘弾性測定

様々な温度における機械的応力に対するPP(またはガラス繊維強化PP)の反応を確認する場合は、動的機械分析(DMA)が使用されます。この測定の主な目的は、ポリマーが軟化し始める温度、すなわちポリマーが特定の力学的負荷に耐え得る最高温度(ポリマーのガラス転移温度Tg)を調べることにあります。別の熱分析方法(示差走査熱量測定(DSC)や熱機械分析(TMA))によりこの測定を行うこともできますが、通常はDMAの方がはるかに高精度にTgを測定できます。

DMAねじり測定では、ポリマーの固体サンプル(短冊状または円柱状など)を2つのクランプの間に固定し、振動式レオメータを使用して特定の振幅、周波数の正弦波で変形させます。指定された温度範囲でサンプルにひずみと応力を発生させ、温度を上昇させながら、事前に設定された力学的負荷に対するポリマーの応答を測定します。

 この試験には、リニアモータと動的機械分析(DMA)システムを装備したレオメータが必要です。

ポリスチレン(PS)

ポリスチレンは比較的低価格で生産できるため、最も広く使用されているプラスチックの1つです。発泡スチレンは、一般に保護包装に使用されます。硬質ポリスチレンは、建材、ヨーグルト容器、CD/DVDケース、ボトルなどに使用されます。ポリスチレンは融点が比較的低く(約100 °C)、透明です。工業用途では、通常、着色して使用します。

ポリスチレンの粘弾性測定

ポリスチレン溶融物の短期的挙動及び長期的挙動を調べるには、振動式レオメータを使用して周波数分散を実行します。周波数分散は、一定振幅と可変周波数で実行される振動試験です。測定セルに入れるポリマーのサンプルとしては、顆粒、粉末、またはあらかじめ成形された板状のものを使用できます。貯蔵弾性率損失弾性率の交点を分析することによって、ポリマーサンプルの平均モル質量の性質を知ることができます。さらに分析を行うことによって、モル質量分布(MMD)を測定できます。GPC分析(ゲル浸透クロマトグラフィー)などの方法と異なり、この測定には溶剤が不要で、MMDの測定に制限はありません。

 この試験には、ペルチェ素子温度制御システムを装備したレオメータが必要です。

ポリウレタン(PU)

ポリウレタン(PU)は発泡材の製造に最も多く使用されているポリマーです。ポリウレタンは、イソシアン酸塩と多価アルコールという2つの成分の反応により作られます。水が存在すると反応によりCO2が発生してポリマー内に気泡として残り、発泡材が形成されます。PUは極めて汎用性の高いポリマーであり、発泡材の座席や断熱材からスパンデックスなどの合成繊維、密閉材やガスケット、サスペンションのブッシング、塗料、シーリング材などの自動車用製品まで、様々な用途に使用されます。

PUの汎用性が高いのは、PUの製造に使用される2つの成分の汎用性を極めて高めることができるからです。分子鎖が長く架橋が少ないと伸縮性の高い軟質ポリマーになり、分子鎖が短く架橋が多いと硬質ポリマーになります。成分を慎重に選択し反応の粘弾性特性を詳細に監視することで、最終製品の特性を微調整できます。

ポリウレタンの粘弾性測定

PUは、イソシアン酸塩、多価アルコールという2つの液体成分を混合し、混合物を成形型に流し込むことにより製造されます。この後、硬化反応が進み、反応が終了するまで粘度が大きくなっていき、最終的には固体となった製品を型から取り出すことができます。硬化過程全体に渡って、パラレルプレート測定システムを装備したレオメータを使用してサンプルの粘度とその他の特性を分析できます。次に示すのは、一定の小さな振幅(0.05%など)による振動測定の例です。次のグラフのように、ポットライフ(成形型に射出するなどのサンプル処理が可能な時間)、ゾル-ゲル転移点(サンプルが液体からゲル状の固体に変わるまでの時間)、硬化時間などの重要な時間を測定できます。

 この試験には、ペルチェ素子温度制御システムと使い捨てのプレート-プレート測定システムを装備したレオメータが必要です。